桃山教会

四旬節第2主日説教 説教イエスの姿が変わる

菅原神父様のブログ「くまたくんの忘れない場所」の音声配信を文字起こしをしてくださったものです。

  • 2023年3月5日
  • 福音箇所
  • マタイ福音書17章1~9節
  • 顔は太陽のように輝き、服は光のように白くなった。(マタイ17:2)

先週が「四旬節第1主日」でしたが、「四旬節第1主日」には、毎年必ず、「悪魔の誘惑」の場面が朗読されます。そして、今日、「四旬節第2主日」には、毎年、「主のご変容」の場面が朗読されます。読まれる福音書は毎年違っていますが、でも、この2週は、毎年、同じ出来事が読まれるようになっているわけです。今日の「ご変容」の場面、イエス様のお姿が、栄光に輝く、というこの話と、先週の「絶えざる悪魔の誘惑」、これは切り離せないからです。この「四旬節」という期間は、悪魔が荒れ野で絶え間なくイエス様を誘惑し続けている、その40日間に重なるのですから、そう考えると、通奏低音が鳴り響くかのように、絶え間なく私たちを襲ってくる「悪魔の誘惑」、そちらに心を向けてみることも、「四旬節」の大切な意味だと思います。  ほんとに悪魔って、自分の仕事にものすごく忠実です。まるで昭和のモーレツ社員のように、自分の職務を、人を誘惑して神から引き離すという任務を、絶え間なく、疲れも知らずに、ひたすら忠実に果たそうとする、この勤勉さ。あの「七つの大罪」の一つに「怠惰」というのがありますが、悪魔の方々は、「怠惰」なんかには無縁で、もうこの点にかけては、全く悪魔的ではありません。それでこの「絶えざる悪魔の誘惑」ということを、認識していることが、私たちの救いにとってはとても大切ではないでしょうか。例えば、私たちが、様々なネガティブな気持ちに襲われる時、そこに「絶えざる悪魔の誘惑」ということが見えてくれば、かえって、救いも見えてきます。ネガティブになるのは悪魔のせいであって、自分のせいではない、ということが、見えてくるからです。「聖書」を読んでいればわかるように、悪魔はいつもイエス様に全く歯が立ちません。だから、ネガティブな思いが悪魔の仕業であるとわかってしまえば、もう大丈夫です。すぐに、自分がイエス様と結ばれているということを思い出せば、直ちに、悪魔に打ち勝ちます。「絶えざる御助けの聖母」というイコンがありますが、まさに「絶えざる悪魔の誘惑」こそが、私たちの心を、「絶えざる神の御助け」に向けさせてくれます。こう考えると、悪魔というのは、実は、私たちの救いのために力を貸してくれている、ありがたい存在のようにも思えてきます。それは、あたかも、最近のヒーローものの主人公は、かつての、昭和の完全無欠のヒーローとは違って、ひ弱、軟弱、草食系で、むしろ悪役の方が強くてかっこよく、結果的に、その悪役のおかげで主人公が成長させられていく、というのにも似ています。  まずは、私たちを忠実に襲い続けている「絶えざる悪魔の誘惑」に気がつきましょう。悩み事、心配事、病気、体調不良、コンプレックス、葛藤、そういうものに、絶えず苦しめられているのを、私たちは感じるわけですが、その「絶えざる悪魔の誘惑」こそ、それが見えさえすれば、それと同時に、「絶えざる神様の御助け」も見えてくるはずです。そして、この気づきは、光り輝く栄光のイエス様が、十字架の苦しみと、裏表であるという、今日の「主のご変容」のテーマ、であり、悩みや苦しみこそが、救いであり、永遠の命であるということへと、私たちの目を開かせてくれます。

第一朗読  創世記 12:1-4
(その日、)主はアブラムに言われた。「あなたは生まれ故郷 父の家を離れて わたしが示す地に行きなさい。わたしはあなたを大いなる国民にし あなたを祝福し、あなたの名を高める 祝福の源となるように。あなたを祝福する人をわたしは祝福し あなたを呪う者をわたしは呪う。地上の氏族はすべて あなたによって祝福に入る。」アブラムは、主の言葉に従って旅立った。


第二朗読  テモテへの手紙 二 1:8-10
(愛する者よ、)神の力に支えられて、福音のためにわたしと共に苦しみを忍んでください。神がわたしたちを救い、聖なる招きによって呼び出してくださったのは、わたしたちの行いによるのではなく、御自身の計画と恵みによるのです。この恵みは、永遠の昔にキリスト・イエスにおいてわたしたちのために与えられ、今や、わたしたちの救い主キリスト・イエスの出現によって明らかにされたものです。キリストは死を滅ぼし、福音を通して不滅の命を現してくださいました。


福音朗読  マタイによる福音書(17:1-9)
(そのとき、)イエスは、ペトロ、それにヤコブとその兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。イエスの姿が彼らの目の前で変わり、顔は太陽のように輝き、服は光のように白くなった。見ると、モーセとエリヤが現れ、イエスと語り合っていた。ペトロが口をはさんでイエスに言った。「主よ、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。お望みでしたら、わたしがここに仮小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのため、一つはモーセのため、もう一つはエリヤのためです。」ペトロがこう話しているうちに、光り輝く雲が彼らを覆った。すると、「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者。これに聞け」という声が雲の中から聞こえた。弟子たちはこれを聞いてひれ伏し、非常に恐れた。イエスは近づき、彼らに手を触れて言われた。「起きなさい。恐れることはない。」彼らが顔を上げて見ると、イエスのほかにはだれもいなかった。 一同が山を下りるとき、イエスは、「人の子が死者の中から復活するまで、今見たことをだれにも話してはならない」と弟子たちに命じられた。

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